女性側の離婚を決めた理由ランキングTOP10
令和5年度の司法統計「婚姻関係事件数―申立ての動機別」によると、女性側の離婚を決めた理由(正確には家庭裁判所に婚姻関係事件(※)について申し立てた理由)のランキングは、以下の通りになっていました。
※ 婚姻関係事件とは、離婚を含めた婚姻中の夫婦間の紛争一切(訴訟事件除く)のことです。
|
女性 |
件数 |
1位 |
性格が合わない |
16,304 |
2位 |
生活費を渡さない |
13,235 |
3位 |
精神的に虐待する |
10,948 |
4位 |
暴力を振るう |
8,576 |
5位 |
異性関係 |
6,575 |
6位 |
浪費する |
4,020 |
7位 |
家庭を捨てて省みない |
3,013 |
8位 |
性的不調和 |
2,808 |
9位 |
家族親族と折り合いが悪い |
2,647 |
10位 |
酒を飲み過ぎる |
2,618 |
参考:裁判所「司法統計 第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別」
離婚を決めた理由として、最も多かったものは「相手と性格が合わない」という価値観の不一致でした。
それに続いて、パートナーに生活費などを渡してもらえずに金銭的な制約を受けることになる「経済的DV」や、モラハラなどの精神的虐待、家庭内暴力(DV)などが「離婚を決めた理由」として多く挙げられています。パートナーとの金銭感覚の違いや異性関係なども、女性が離婚を決める理由に繋がりやすいものです。
株式会社Clamppyが独自に実施したアンケート全体の傾向としては、離婚原因が1つではなく複数の要因が組み合わさった末に限界を迎えた人が多く見られました。「浮気するし愛情を感じない」「生活費を渡さないしそもそもモラハラ気味」など、近しい原因の併発が離婚の決め手になる人が多いのではないかと推測されます。
以下では、司法統計を基にしたランキングの順位別に、女性が離婚を決めた理由や、株式会社Clamppyが実施したアンケート結果(複数回答可)による補足・口コミ情報についてくわしく解説します。
アンケートの口コミには、離婚時の年齢、離婚時の結婚年数、職業を掲載しています。男性のランキングも同様です。
第1位:相手と性格が合わなかった
第1位の「相手と性格が合わなかった」は、司法統計において男女ともに1位となっています。令和4年以前の司法統計でも1位でした。
当サイト「ツナグ離婚弁護士」を運営する株式会社Clamppyが735人におこなったアンケートでも、「離婚したいと思ったきっかけは何ですか?」という質問に対し、「性格の不一致」を回答に入れた人が324人と43.4%に上ります。
夫婦生活の中では、交際期間中には見当たらなかった相手の悪い部分が浮き彫りになってしまうこともあるでしょう。
話し合いや、お互いの譲り合いなどによって解決できればよいのですが、なかなか歩み寄れずに、離婚にいたるというケースが数多く存在します。とくに女性の場合は、夫が家事・育児に対して非協力的であることから不満が募ってしまうことが多いようです。性格や価値観のすれ違いは毎日少しずつ積み重なるのが一般的であり、長年の不満がどんどん溜まって我慢できなくなるケースは珍しくありません。
なお「性格が合わない」という理由だけでは「法定離婚事由」に該当しないことから、話し合いで相手が離婚に同意しない場合は、裁判等で離婚することができません。
ただし、お互いに離婚に合意できるなら、性格が合わないという理由だけで離婚することも可能です。厚生労働省「令和4年度離婚に関する統計」によると、日本の離婚の約9割は話し合いで合意する協議離婚であることから、性格が合わないという理由の離婚はとくに珍しくありません。
なお、「性格が合わない」という離婚理由には、金銭感覚の違いや価値観の違い、時にはモラハラなどの精神的虐待などの事案が含まれていることもあります。「性格が合わない」という理由で離婚したいと思っている方は、改めてパートナーとの普段の関係性を見直してみて、他に理由がないか確かめてみるのもおすすめです。
法定離婚事由
「性格の不一致」に関する女性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「性格の不一致」と回答した女性の口コミは、次の通りです。
- 合わない者同士が結婚し、お互い我慢しないから破局した。(39歳・結婚9年目・パート/アルバイト)
- 原因は無く単純に、ご縁が無かったのだと思います。色んな場面で積み重なった様々な差異がお互いに整合できなく、離婚を決めました。(28歳・結婚1年目・パート/アルバイト)
- 性格の不一致と共働きなのに協力してくれないこと。(23歳・結婚2年目・専業主婦/主夫)
収集した口コミを見ても、性格が合わないという表現のなかには「性格の相性が悪い」「子育てなどの協力をお願いしても理解を得られない」「言動がモラハラ気味でしんどい」など、さまざまな「合わない」が挙げられていました。
第2位:生活費を渡さない・経済的DV
共働きの夫婦が増えているとはいえ、子育てや家事を女性側が多く担っている家庭は少なくありません。
そのため、共働きと言っても、女性側はパートやアルバイトなどの仕事に従事することが多く、男性側との収入格差が生まれることもあるでしょう。
また、専業主婦として家事や育児に集中する場合は収入がない場合もあります。
女性の方が収入が少ない、または無収入という場合は、夫から妻に生活費を渡し、互いに支え合いながら生活していくのが通常ですが、場合によっては夫が妻に対して理不尽に経済的な制限をかけることも。
「妻の態度が気に入らない」「自分が稼いだお金を渡したくない」という身勝手な理由で生活費を渡さない場合は、経済的DVにあたる可能性があります。
生活費を渡さないという行為は、法定離婚事由である「悪意の遺棄」として裁判で離婚が認められるケースがあります。話し合いでの離婚が難しい場合でも、最終的に調停や裁判を経て離婚できる可能性はゼロではありません。とはいえ、生活費を渡してくれない相手でも生活費を渡さない合理的な理由(教育費や老後への貯蓄や離職による一時的な困窮など)や、夫婦生活に支障が出ないレベルのギャンブルなどは、経済的DVに当たらないと判断されるケースもあります。
「浪費・ギャンブルのせいで借金をしている」「生活費が足りないのに働かせてくれない」「夫婦共有の預金を使い込まれる」など、生活自体が成り立たなくなるレベルや婚姻関係を著しく悪化させるレベルで、かつ証拠があるときは離婚理由として十分と判断される可能性が高くなります。
令和5年度の司法統計を見ると、生活費を渡さないことを理由に裁判所へ申し立てた女性1万3,235件に対し、男性は686件と非常に少なくなっていました。株式会社Clamppyが実施したアンケート調査でも、生活費を渡さないことを離婚理由に挙げる男性は227人中わずか5人です(女性は508人中69人)。
悪意の遺棄
「生活費を渡さない」に関する女性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「生活費を渡さない」と回答した女性の口コミは、次の通りです。
- 夫が定職につかない上にアルバイトをしても生活費を渡してくれなかったから。(23歳・結婚2年目・会社員)
- モラハラと経済的DV が大きい。(33歳・結婚3年目・会社員)
- 浮気と生活費を入れないことです。(32歳・結婚2年目・個人事業主・自営業)
生活費を渡さないと回答した人は、夫からのモラハラや浮気なども離婚原因として併せて挙げているケースが見られました。生活費を渡さない時点で、妻への尊敬の気持ちの薄さや愛情の薄れなどを感じ取る女性が多いようです。
第3位:精神的虐待・モラハラが酷い
精神的な虐待やモラハラに耐えきれず離婚といったケースは、男女ともに数多く見られる離婚理由です。
モラハラとは、道徳・倫理を表すモラルと、嫌がらせを表すハラスメントを組み合わせてできた言葉です。身体的な暴力ではなく、相手に対して精神的苦痛を与える攻撃を意味します。度重なるモラハラはときに精神的な病や社会的な生活の困難を招き、今後の人生に大きな影を落とすこともあります。
具体的には、暴言を吐く、行動を監視する、無視し続ける、細かくミスを指摘し、侮辱する、親族の悪口を言う、実家との付き合いをさせないなどの内容が挙げられます。
とくに、専業主婦の女性の場合、夫以外に話す相手や相談相手を持てないことがほとんどです。自分に非がなくとも夫に日々威圧されたり侮辱されたりすることで、精神的に弱ってしまい、自分がモラハラ・精神的虐待の被害に遭っていることすら気付けないというケースも多くあります。
交際しているときは優しくても、結婚してからモラハラをするような本性が表れたり、仕事によるストレスを妻で発散するようになったりするなど、結婚後の豹変だと結婚前には問題や予兆を見破れないことも珍しくありません。
離婚を切り出したときにパートナーが「改善する」と言う場合もありますが、精神的虐待・モラハラはパートナーのもともとの性格や気質も大きく影響しているため、根本的な改善が難しいこともあるでしょう。改善の見込みがない場合には、離婚という道を選んで、自分の精神を守ることも大切です。
パートナーの言動に少しでも違和感を覚えたら、まずは親族・友人への相談から始めてみてください。相談後に勧められたときやすでに精神的に限界で離婚を具体的に検討しているときは、弁護士、公的機関などの第三者に相談してみてください。
なお、モラハラや精神的虐待で離婚や慰謝料請求をしたい場合は、夫婦生活の継続が困難であることを証明するための証拠入手が必要です。証拠入手に対する考え方も、本記事「【離婚を決意したら】実際に離婚を切り出す前にやっておくべきこと」にて後述します。
「精神的な暴力」に関する女性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「精神的な暴力」と回答した女性の口コミは、次の通りです。
- 義母と元旦那からのモラハラ。生活費をもらえない。毎日夜中や朝方まで仕事終わりに遊び回る。休みの日は夕方まで寝て起きたらこどもと遊ぶのではなく遊びに行く育児放棄だったため。(31歳・結婚1年目・パート/アルバイト)
- 不況で収入がなくなったことで相手が精神的に不安定になり、浪費・モラハラが始まったこと。(25歳・結婚2年目・会社員)
- 相手は奥さんが家事を完璧にこなしてほしいという気持ちが強く、私は体調不良などが重なりなかなか完璧にできず、そのせいで喧嘩やモラ発言をされることが増えたことが原因。(28歳・結婚1年目・会社員)
弊社のアンケートを見ると、結婚前からモラハラがひどいというより、結婚後の生活環境や気持ちの変化、価値観の相違によってモラハラが始まったケースが多く見られました。結婚前にモラハラの予兆を感じるのが、いかに難しいかがわかります。また、アンケートでは性格の不一致に次ぐ2位(女性508人中190人)の離婚理由となっています。
第4位:暴力を振るわれる
男性と比べて女性側の離婚を決めた理由として多かったのが、暴力を振るわれるというDV問題。
男性のほうが女性よりも肉体的には強いのが一般的であるため、女性側の方が暴力を受けやすいという実情があるようです。
暴力は決して許される行為ではなく、相手に対して敬意が欠けていることの表れです。相手への恐怖や同情などで暴力行為を許容し続けてしまうと、日常生活にも影響が出るような怪我を負ってしまったり、子どもの教育や発育にも悪影響を及ぼす可能性があります。離婚を考えるほどの暴力行為が続くなら、警察への被害届も視野に早めに行動を起こすことを推奨します。
また、裁判での離婚や慰謝料請求を望む場合、証拠入手が重要です。
医師の診断書・受診歴・ケガの写真といった「被害状況を証明するもの」や、暴力行為の状況を示す電話音声・メールといった「暴力行為の事実を証明するもの」などがあれば、事実関係を裏付ける客観的な証拠として認められます。すでに命の危険がある、酷い怪我を負っている場合などは、直接警察に相談して、相談カードや相談記録といった書面を出してもらうことも、証拠として有効です。警察が介入できないかを相談してみるのもよいでしょう。
DVは、直接命や身体に危険が迫るものなので、少しでも暴力行為を受けた場合は、公的機関や弁護士などの専門家に相談するようにしてください。
「身体的な暴力」に関する女性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「身体的な暴力」と回答した女性の口コミは、次の通りです。
- 私にだけではなく子供にも暴力をふるっていたから。(26歳・結婚1年目・会社員)
- 相手のお酒や暴力が原因で離婚した。(47歳・結婚27年目・会社員)
- 夫からのDVや、精神的な苦痛から耐えられなくなったので(30歳・結婚6年目・専業主婦)
弊社のアンケート結果で印象的だったのが、離婚理由に身体的な暴力を挙げた66人中55人が精神的な暴力も選んでいた点です。身体的な暴力をおこなう相手は、同時に精神的な暴力も加える傾向が見えました。
一方で離婚理由に精神的な暴力を挙げた190人のうち、身体的な暴力も選んでいたのは55人にとどまっており、精神的な暴力は身体的な暴力がなくても単体で実行される傾向にあるようです。
第5位:異性関係・不倫問題
夫の異性関係や不倫問題は、離婚を考える大きな理由の1つです。
不倫を決定づける客観的な証拠や夫の自白などがあれば、離婚協議や裁判などにおいて離婚成立や慰謝料請求が比較的容易です。一方で不倫の客観的な証拠がなく、なおかつ夫が不倫を認めないときは、話し合いが長引いたり慰謝料請求が難しくなったりなどの状況が想定されます。
そのため、相手の有責で離婚したい場合や、慰謝料請求をしたい場合は「浮気・不貞行為をしている証拠」が何よりも大切になります。性行為および性的な行為が伴う不倫は民法上の不貞行為に該当し、悪意の遺棄などと同じく法定離婚事由として成立します。裁判では証拠を提示して不貞行為を立証しないと、離婚成立や慰謝料請求が認められない可能性が高いので注意してください。
そもそも女性の側からすれば、夫がほかの女性と不倫するのは裏切りだと感じる人もいるのではないでしょうか。自らの理性で性欲をコントロールするのが難しい男性もいることから、「浮気グセは治らない」と諦めて離婚を選ぶ女性も珍しくありません。
協議離婚なら、民法上で離婚事由に該当しない理由でも、夫婦双方の合意があれば離婚できます。「相手と肉体関係がなかったとしても許せない」「ずっと浮気に怯えながら一緒に暮らすのは嫌だ」と思うなら、夫に自分の気持ちをしっかり伝えて冷静に話し合うことが大切です。
「不倫」に関する女性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「不倫」と回答した女性の口コミは、次の通りです。
- 相手が元カノに金銭的な援助を隠れてしていた。そのことを責めると、自分のお金だから私には関係ないと突っぱねた。私が男友達とLINEをやり取りしているのを勝手に見て、浮気していると決めつけて責めた。(38歳・結婚4年目・パート/アルバイト)
- 旦那の不倫がきっかけでぎくしゃくして関係性は最悪なものになり、私はこのまま耐えようと思っていたけど相手がもう無理となって半年別居して離婚に合意しました。(29歳・結婚2年目・会社員)
- 暴力もあり仕事に行っていると思ったら不倫をしていた。(30歳・結婚3年目・30歳)
不倫が発覚したらすぐに別れる人や、我慢しようとしたがやっぱり耐えられなかった人など、不倫によって大きな精神的ショックを受ける意見が多々見られました。
第6位:相手の浪費が激しい
パートナーの浪費が激しいというのも、離婚したい理由として挙がります。
金銭面の価値観の不一致は、夫婦生活に大きな影響を与えることの1つです。
夫が、自分に無断で複数の消費者金融から借金をしたり、パート代を無理やり奪ってパチンコ代などの趣味代にしてしまったりなど、家庭を顧みない自己中なお金の使い方に怒りを覚える女性は多くいます。
また大きな金銭感覚の違いは、夫婦生活を続けるうえで多大な損害を及ぼしたり、お金を渡さないことに対するD Vに繋がったりなどのケースもあり、やむを得ず離婚するというケースもあります。
「浪費」「借金」に関する女性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「浪費」「借金」と回答した女性の口コミは、次の通りです。
- ギャンブルに溺れて、私の財布からお金を抜いたり、2人で貯めたお金を勝手に遣われたこと。(29歳・結婚4年目・専業主婦/主夫)
- 借金と働かない事と、暴力を振るうこと。(24歳・結婚4年目・個人事業主・自営業)
- パチンコをやめられず、お金を借り入れしたりして自転車操業だったから。(33歳・結婚10年目・会社員)
弊社のアンケートを見ると、浪費の内容としてとくに多かったのはギャンブルでした。加えて「借金があるのにお金を返す気概が見えない」との体験談も集まっています。また、ギャンブル・借金に伴い「働いてくれない」「借金をさらに増やそうとする」など、収入・支出をまったく顧みない夫の態度も不満の原因となっているようです。
第7位:相手が家庭をかえりみない
夫が仕事や疲れを言い訳にして家事や育児にまったく取り組まないことに対し、妻が不満を感じることは少なくありません。なかには家事・育児の時間が作れるにもかかわらず、「家庭は妻が見るものだ」と、妻の意見を聞かずに一方的な価値観を押し付けるケースも依然存在します。
家計を支えるために仕事を頑張ることは、決して悪いことではありません。しかし、仕事を理由にまったく子どもとかかわらなかったり、家事に協力せずに妻を家政婦扱いしてしまったりすると、妻の不満は溜まる一方でしょう。
たとえば出産直後であっても、妻を支える姿勢が一切見られないと、離婚にまでいたるというケースを聞くことがあります。いわゆる「産後クライシス(出産してからの変化によって夫婦仲に亀裂が入ること)」の原因になるかもしれません。
「家事・育児に対する姿勢」に関する女性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「家事・育児に対する姿勢」と回答した女性の口コミは、次の通りです。
- 相手が家の事に無関心だったうえに、最後まで自分の親の意見しか受け入れなくて私を助けてくれなかったことです。(26歳・結婚1年目・会社員)
- 元夫が育児放棄の意思を明確に示したこと。(36歳・結婚7年目・個人事業主・自営業)
- 金銭面でだらしがない、家事や育児に協力的じゃなかったなど色々あります。(26歳・結婚6年目・パート/アルバイト)
家事・育児に対する姿勢を離婚理由として挙げていた人は、併せて「性格の不一致」「愛情の薄れ」など、夫婦の関係性についての不満も一緒に持っていたと回答する傾向が見られました。家事・育児に非協力的な夫は、そもそも家庭そのものへの愛情が薄れているパターンも少なくないようです。
第8位:性的な面で合わない・セックスレス
性癖の違いや性交不能な状態など、夫婦によって性生活に関する悩みは異なります。性的な面でパートナーと相性が悪かったり、セックスレスがストレスになったりして、離婚にまで発展するケースも少なくありません。
女性側が、セックスに対する意思を極端に示さない場合、男性が浮気に走ってしまったり、日常生活でも関係性がこじれたりするなど、性生活での不一致が夫婦の不仲を加速させることも。
また女性の場合は出産を機に、性生活を行う余裕がなくなったり、夫を男性として見れなくなってしまったりして、愛情も失ってしまうという背景もあるようです。
「性の問題(セックスレスなど)」に関する女性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「性の問題(セックスレスなど)」と回答した女性の口コミは、次の通りです。
- 結婚した途端セックスレスになり、相手がどんどんわがままになっていき苦しくなったから。(25歳・結婚1年目・パート/アルバイト)
- セックスレスと、喧嘩ばかりをしていて疲れてしまったから。(23歳・結婚2年目・会社員)
- 性生活が全くなくなり、結婚生活を持続できなかった為。(24歳・結婚4年目・パート/アルバイト)
弊社アンケートを見ると、夫の性欲についていけないという意見と、夫側が性交渉を拒否したという意見がそれぞれありました。
性の問題と併せて「性格の不一致」「愛情の薄れ」を離婚理由として挙げている人も多かった印象です。セックスレス自体を一番の離婚理由にしているというより、メインとなっている離婚原因にともなってセックスレスになっている傾向が見られます。
もし夫と長期間性交渉をしていない場合は、何か理由があってセックスレスになっている可能性があります。
第9位:義家族と折り合いが悪い・相手が自分の家族と折り合いが悪い
いわゆる「嫁姑問題」のように、義理の家族との折り合いが悪いことで、離婚にいたるケースもあります。
たとえば自宅と義実家の距離が近いと対面する機会が多い場合、ストレスを強く感じることも増えていくでしょう。夫の行き過ぎたマザコン気質に嫌気が差し、離婚を考える女性もいるようです。
夫側の両親は結婚を機に親戚になったとはいえ、もともとは他人です。「夫とはうまくやっていきたいのに」という思いとは裏腹に、夫が義家族側への肩入れが強く逆に妻が責められる状況になると、妻としても離婚を考えてしまうのではないでしょうか。
「義両親など親族」に関する女性の口コミ
離婚を決めた理由として「義両親など親族」と回答した女性の口コミは、次の通りです。
- 義母や義妹に専業主婦なことで文句や嫌味を言われたり、うちの嫁のくせに、姑の介護もする気がないのか?等言われたのでじゃあ嫁辞めます。と言って離婚した。(24歳・結婚4年目・専業主婦)
- 結婚した途端、義母から私の娘になったんだから言うことを聞けと言われました。超絶マザコンの主人は義母の言いなりで、私が反抗すると一緒になって攻撃してくる人でした。(32歳・結婚8年目・派遣社員/契約社員)
- 義理の両親との不仲。義理の両親が私の仕事の多忙さに理解がなかった。盆正月の度に、飛行機乗って帰省できるわけがないのに、強制してきたので嫁という役割を辞めさせていただきました。(34歳・結婚3年目・会社員)
弊社アンケートでは、義家族からの暴言や見下しを受けて離婚にいたったケースが多々見られました。
離婚を考えるときは「折り合いや相性が悪くて会話するのが嫌」というレベルではなく、「直接的な被害や強いストレス」にさらされているようです。また、義家族との間を夫が取り持ってくれず、夫に対して不満がたまるケースも確認できました。
第10位:相手が酒を飲み過ぎる
酒を飲みすぎることで暴力を振るわれたり、お酒が原因で家族と碌なコミュニケーションを取らなかったりする夫がいると、あなたや子どもの身体や生活が脅かされてしまいます。
アルコール依存症のような精神面での病気となれば、長期間での治療が必要であり、症状が改善される100%の保証はありません。妻としては夫をサポートしたいものの、DVや金銭問題といった複合要因が重なる形で耐えられなくなり、離婚にいたっていることもあるようです。
なお、アルコール依存症は民法上の法定離婚事由である「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。」における強度の精神病に該当しないケースが一般的なようです。アルコール依存症が原因で離婚する場合は、協議にて「アルコール依存症が原因の暴力・暴言がある」など、アルコール依存症が要因の不法行為を主張することになります。
お酒が離婚の原因だと回答した女性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由に「お酒」が絡んでいる女性の口コミは次の通りです。
- 結婚後、私の収入をあてにしたのか?会社を辞めてしまい、さらにお酒を毎日たくさん飲んで酔って暴力を振るうようになった。3回ほど警察沙汰にもなった。(39歳・結婚1年目・派遣社員/契約社員)
- お酒を飲んだらあばれて力による暴力とモラハラ。(40歳・結婚20年目・会社員)
- 夫の飲酒後の暴力に耐えきれなかった。(20歳・結婚1年目・パート/アルバイト)
お酒を飲むことそのものではなく、「飲酒すると暴力やモラハラがひどい」という意見がほとんどを占めていました。
男性側の離婚を決めた理由ランキングTOP10
令和5年度の司法統計「婚姻関係事件数―申立ての動機別」によると、男性側の離婚を決めた理由(正確には家庭裁判所に婚姻関係事件について申し立てた理由)のランキングは以下の通りになっていました。
|
男性 |
件数 |
1位 |
性格が合わない |
9,240 |
2位 |
精神的に虐待する |
3,159 |
3位 |
異性関係 |
2,132 |
4位 |
家族親族と折り合いが悪い |
1,964 |
5位 |
浪費する |
1,883 |
6位 |
性的不調和 |
1,749 |
7位 |
暴力を振るう |
1,454 |
8位 |
同居に応じない |
1,359 |
9位 |
家庭を捨てて省みない |
764 |
10位 |
生活費を渡さない |
686 |
女性側の離婚理由と同様に、男性側の離婚理由の第1位は相手と性格が合わないという価値観の不一致となりました。
意外と感じられるかもしれませんが、第2位は妻からの精神的虐待やモラハラが離婚理由となりました。ヒステリックに喚き散らしたり、完全に無視を続けたりなど、共同生活を送るのが困難となり離婚にいたるケースが数多く見受けられます。
第3位は浮気・不倫といった異性問題となりました。女性が浮気・不倫に走ってしまうことも少なくないのです。
また得票数としては少数ながら、妻からの家庭内暴力(DV)、経済的DVを離婚理由に挙げる男性もいます。夫婦のライフスタイルの構造によっては、離婚の理由として十分に想定されます。
また、男性が離婚を決めるうえで意識しておきたいのが親権問題です。不貞行為や暴力行為を行った妻との親権争いに挑む夫という構図も見受けられますが、原則として親権争いにおいて「不貞行為や夫への暴力行為などの夫婦問題」と「子どもの問題」は切り分けられて考えられます。
妻が不倫などの法定離婚事由に該当する行為をしたからといって、夫が親権を取れるとは限らないのが実情です。過去の司法統計を見ても、母親が親権を獲得する割合が約9割で推移しています。妻側に非が認められる離婚でも、父親が親権を獲得するにはこれまでの子どもとの良好な関係性・監護状況、子どもの気持ち、親権獲得後の生活環境などを主張する必要があるでしょう。
全体的な印象としては、離婚を決めた理由の内容は男女ともにそこまで大きな違いがなかった点です。男性だろうと女性だろうと、性格が合わないのは辛い、不倫されて悲しい、暴力行為が怖いなど、相手の不法行為や不義理に対する怒りや悲しみ、そして子どもへの愛情を基になって離婚を決意しているようです。
以下ではランキングの順位ごとに、男性側が離婚を決めた理由やアンケート結果を解説していきます。
第1位:相手と性格が合わなかった
相手と性格が合わなかったという理由が、女性と同じく男性側の離婚理由の第1位です。やはり性格が合わないという問題は、性別関係なく生まれてしまうものです。共同生活の中で妻に抱いていた幻想のような部分が冷めてしまうこともあるのでしょう。
「性格が合わない」といっても、そう感じる原因は夫婦によって様々です。1回の出来事が致命傷になることもあれば、積もり積もった価値観の違いといった過程が原因になることも考えられます。夫婦生活を続けることが難しいと感じられれば、離婚にいたるのは男女共通だといえるでしょう。
「性格の不一致」に関する男性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「相手と性格が合わなかった」と回答した男性の口コミは、次の通りです。
- 家事や生活のリズムなどお互い合わずにけんかが絶えなかったため。(30歳・結婚3年目・会社員)
- 性格があわなくて毎日ストレスでした。(33歳・結婚2年目・会社員)
- とくにないが、一緒にいても面白くない。お互いに駄目なところばかり見てしまう。(26歳・結婚4年目・個人事業主・自営業)
弊社が実施したアンケートでも。性格の相性が悪い、家事・育児に関する価値観が違うなどの明確な理由を挙げている人から、これといった理由はないけど小さな不満が積み重なったという人までさまざまな体験談が挙がっていました。性格の不一致に関する具体的な離婚理由にも、男女差はそこまで見られません。
第2位:精神的虐待・モラハラが酷い
妻からの精神的虐待やモラハラが原因による離婚理由です。
ヒステリックに喚き散らしたり完全に無視されるなど、妻によって態度はさまざまです。収入に文句を言ったり、夫の交友関係に口を出したり、こどもに夫の悪口を吹き込んだりといったケースもあります。
出産や子育てによって女性の性格が変化するというパターンはよく見受けられます。必ずしもよい方向に変化するとは限らず、精神的にキツいと感じてしまう男性も多いようです。モラハラといえば男性からのイメージが強いと思われますが、「男のくせに本当にダメ」といった性差別や、感情的な言動などの女性からのモラハラも存在します。
「精神的な暴力」に関する男性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「精神的な暴力」と回答した男性の口コミは、次の通りです。
- お前(私の事)は働いて金だけ家に入れてればよいんだから帰って来ないでビジネスホテルでも泊まってろ!とか、夕飯は無いから自分で作るか買って食え!とか、お前(私の事)の洗濯物は汚ないから洗濯したいならコインランドリーで洗濯してこい!など様々な暴言をぶつけられていました。このような暴言の中で妻と夫婦生活を送っていましたがストレスにより精神的に参ってしまい自身を守るために離婚を決意しました。(24歳・結婚3年目・会社員)
- 家で一緒にいる際に、頻繁にひどい言葉をかけ続けられた。(26歳・結婚3年・パート/アルバイト)
- セックスレスと妻のモラハラが原因です。(47歳・結婚18年目・個人事業主・自営業)
アンケートでの口コミを見ると、感情的な暴言を浴びせられ、そのまま病んでしまった男性が多かった印象です。男性のモラハラに多かった「相手を下に見る言動・態度」というより、「とにかく嫌いの感情をぶつける」というモラハラが目立ちました。
第3位:異性関係・不倫問題
浮気や不倫の問題は男女関係なく発生するものであり、男性が離婚を決めた理由としても第3位となっていました。
女性が浮気や不倫に走るケースは、男性側からするとショックも大きいでしょう。「まさか自分の妻が…」というショックが大きく、気持ちが途切れてしまう男性は多いようです。
なお、インターネットの一部では「女性は不倫の慰謝料を払わなくてもよい」とネタ的な意味を含めて言われることがありますが、当然ながら妻側が不倫したら夫は妻および不倫相手に慰謝料請求が可能です。
「不倫」に関する男性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「不倫」と回答した男性の口コミは、次の通りです。
- 相手の浮気。会社の上司と浮気していました。(24歳・結婚3年目・会社員)
- 相手が会社の人と不倫をしていたからです。(26歳・結婚5年目・会社員)
- 自分が仕事でいない時に男を自宅に入れて不貞行為をしてました。(47歳・結婚14年目・パート/アルバイト)
「ほかに好きな人ができた」「自分が不倫したから」と、相手ではなく自分の気持ちがパートナーから離れて離婚にいたったことを、離婚理由に挙げるケースもいくつか見られました。
第4位:義家族と折り合いが悪い・相手が自分の家族と折り合いが悪い
長期間にわたる夫婦生活のなかで、義家族や自分の家族における問題が発生することもあるでしょう。
一例として、夫は両親の高齢化をきっかけに同居を検討しているものの、妻はこどもの教育環境を考慮して現在の暮らしを続けたいといったケースです。
夫婦間だけでは解決できない問題にまで発展してしまったため、離婚という形でトラブルの原因そのものを排除しようという発想ともいえます。
「義両親など親族」に関する男性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「義両親など親族」と回答した男性の口コミは、次の通りです。
- 義両親からの暴言や誹謗中傷(仕事に関しての)があったため。(30歳・結婚2年目・会社員)
- 相手両親のモラハラ行為です。自分の両親を罵っている姿を見て、目が醒めました。(34歳・結婚7年目・会社員)
- 私の親族と元嫁の性格が合わなかった。(34歳・結婚8年目・会社員)
妻側の義両親からのモラハラが辛かったと答えた人に加え、「自分側の両親と妻が合わなかったから離婚された」と回答した人もいました。
第5位:相手の浪費が激しい
お金の価値観の問題を明らかに超えるような浪費が見受けられることで、離婚に至ることもあります。
女性側に非が見られるパターンだと、夫に無断でクレジットカードを盗み出し多重債務に陥ったり、株式投資に失敗して多額の損失を招いてしまったりなどです。夫の収入や子どもの教育資金などに手を出し、私利私欲のためにお金を使ってしまうのが夫に離婚を決意させてしまいます。
「食べるのが好きで、つい食べ物をたくさん買ってしまう」というくらいなら、多くの方が受け入れられるかもしれません。しかし、高級品など生活に支障が出るような高額の支出を見逃すことは難しいでしょう。無断で消費者金融へ借り入れを行うのは、パートナーとして不適格と言わざるを得ないかもしれません。
「浪費」に関する男性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「浪費」と回答した男性の口コミは、次の通りです。
- 妻の浪費の為、生活ができなくなったので。(32歳・結婚3年目・会社員)
- 相手の収入は貯蓄する約束だったが、全額使い込んでいたため。(40歳・結婚12年目・会社員)
- お金使いが粗くこどもが小さかった為一馬力で働いてたにも関わらずお金使いが粗かったところ、その後に男をつくったため。(25歳・結婚3年目・会社員)
アンケート結果からは、浪費癖による生活苦以上に、「信頼していたのにお金を勝手に使われて裏切られた」という落胆が大きい印象を受けました。一方で、妻側の離婚理由として挙げられていたギャンブルによる浪費はほとんど見られませんでした。
第6位:性的な面で合わない・セックスレス
性的な価値観の不一致やセックスレスは男女共通の悩みです。妻の性欲が強く、夫は性欲に乏しいというケースも決して珍しくありません。
一般的に男性は性欲を発散したい気持ちがあることから、唯一の性交渉の相手である妻とセックスレスの状態になることに、相当苦痛を感じる男性もいることでしょう。
セックスによって愛情を感じるという女性も多く、セックスレスによって夫からの愛を感じられずに、夫婦生活の意義を問い直してしまうのでしょう。またセックスレスから浮気や不倫に走るケースもあることから、性の問題は離婚原因の中でも大きな割合を占め、それがランキングに反映されていると言えます。
「性の問題(セックスレスなど)」に関する男性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「性の問題(セックスレスなど)」と回答した男性の口コミは、次の通りです。
- 精神的苦痛やセックスの相性、精神的な中折れ等。(28歳・結婚10年目・会社員)
- セックスレスとこちらの浮気現場を目撃された。(28歳・結婚1年目・会社員)
- セックスレスが一番の原因らしいです。元奥さんからはそのように言われました。私のことを女として見てくれていないと言われた事もありました。自分自身は周りの友達にセックス頻度等聞いたりしながら、これぐらいが一般的なのかなと思っていましたが、元奥さんからするとそうではなかったようです。自分と元奥さんとの性生活における考え方の不一致ですね。話し合いも何もなく離婚に至りました。(34歳・結婚3年目・会社員)
アンケートのなかには、「セックスレスが原因で浮気してバレた」など、セックスレスが要因となって不倫や愛情の薄れにつながったと回答する人も見られました。また、夫側が性交渉を拒否したことで、妻が寂しさ・悲しみを感じ、妻から離婚を切り出したパターンも見られます。
第7位:暴力を振るう
家庭内暴力(DV)は男性のイメージが強いですが、女性が暴力を振るうというケースも存在します。具体例のなかには夫が寝ているところに熱湯をかける、夫のスーツにマヨネーズをかけて台無しにするなど、非常に攻撃的かつ傷害の危険がある行為を受けた男性も見られます。暴力行為の有無は、腕力の強さだけでは決まらないのです。
夫は妻からのDVに肉体的に我慢できるケースがあり、耐えている夫を見て妻の行動がエスカレートするという悪循環に陥る危険性があります。
また、男性は自分の社会的立場や周囲からの目線を気にして、女性から暴力を受けている事実を隠してしまう傾向が見られます。
内閣府の「令和2年度 男女間における暴力に関する調査」によると、全国20歳以上の男女5,000人(有効回収数3,438人、うち結婚経験者2,591人)のうち、配偶者から暴力行為があったと回答した男性は18.4%と約1/5となっていました。そのうち暴力行為について誰かに相談した男性は31.5%と、女性53.7%と比較して少なくなっています。
暴力が原因による離婚は、決して夫だけが原因ではないことを理解しておきましょう。
「身体的暴力」に関する男性の口コミ
離婚を決めた理由として「身体的暴力」と回答した男性の口コミは、次の通りです。
- 私のことが許せないと言葉や身体的な暴力をふるうようになった妻。子どもの前でもそれが行われるようになったので、逃げるように出ていきました。(32歳・結婚7年目・会社員)
- 妻が家を出て帰ってこなくなった。妻の暴力。(26歳・結婚5年目・会社員)
弊社が実施したアンケートでも、妻から実際に暴力を振るわれていたと回答する男性が少ないながらも見られました。
第8位:相手が同居をしてくれない
出産や義家族の問題や精神的に不情緒などが原因で、妻が自分と同居してくれないことが離婚の理由になることもあります。同居してくれない原因は何であれ、家を出ていかれてしまっては、話し合いの余地も生まれにくくなってしまいます。
同居に応じないという離婚理由は、女性のランキングには入っていません。また、ランキングの基になっている令和5年度の司法統計では、婚姻関係事件の申立同期のなかで唯一男性票(1,359)が女性票(722)を上回っています。全体の票数は少ないものの、男性のほうが別居による負担や寂しさを大きく感じるのかもしれません。
同居に関する男性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートの口コミにて、同居について言及したものは次の通りです。
- 7年間別居の間、こども共に前妻が実家から一度も帰ってこなかった。自分から逢いに行っていたが、精神的に限界が来た為。(44歳・結婚17年目・無職)
- 追い出されて別居、離婚協議となったのでメンタル面で相当きつかった。今の再婚相手を見つけるまで情緒不安定な中仕事をするので精いっぱいだった。(32歳・結婚7年目・会社員)
「妻に捨てられた」「離れて暮らすことがメンタルにきた」など、妻側から一緒に暮らしたくない旨を伝えられた事実に対してショックを受ける男性が見られました。
第9位:相手が家庭をかえりみない
家庭を省みない配偶者に愛想を尽かしてしまうのは、何も女性だけではありません。女性側が家庭をないがしろにして、男性側が離婚を切り出すケースも存在します。
「子どもを放りだして遊びに行く」「子どもの看病をしない」といった育児関係の問題や、キャリア志向の女性が家庭のことを何もしない問題などが主に挙げられるでしょう。
とはいえ、総務省の「令和3年社会生活基本調査」によると、男女別の週全体の家事関連時間は男性51分、女性が3時間24分とまだまだ家事・育児に関与しない率は男性のほうが圧倒的に高い結果となっています。
「家事・育児に対する姿勢」に関する男性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由を「家事・育児に対する姿勢」と回答した男性の口コミは、次の通りです。
- 仕事での飲みの回数が多く、家庭よりも仕事に対する比重が大きくなった。(27歳・結婚3年目・会社員)
- 作ったご飯を食べなくなったためです。元々家事をしない方で、私がご飯を作っていましたが、元嫁のために作っていたおかずを2日間冷蔵庫に放置されて喧嘩になったためです。(27歳・結婚1年目・会社員)
- 妻が家事や育児を疎かにし、全く家庭的でなくなってしまった事です。(27歳・結婚8年目・会社員)
アンケートでは、専業主夫だけではなく会社員の夫から「妻が家庭のことをないがしろにしたこと」を離婚理由に挙げられていました。性格の不一致や不貞行為などと比較して少ないものの、共働きや専業主婦の家庭でも女性に対して家事・育児への不満を持つ男性がいるとわかります。
第10位:生活費を渡さない・経済的DV
夫が専業主夫である場合には、妻から生活費を渡してもらえないことで経済的DVを受けるケースも存在します。
男性であることから「男性なんだから自分で稼げば?」といった偏見を持たれやすく、周りからは理解されにくい悩みとなるでしょう。「男性がお金を稼いで家計を支えるべき」という日本社会の価値観から、収入面でのプライドに耐えられなくなったとも推察されます。
また男性で妻からのお小遣い制を採用している家庭の場合、収入に対してランチや病院、そのほかプライベートが制限されるほどの少額しか渡されないときは、経済的DVと判断される可能性があります。
生活費を離婚理由とした男性の口コミ
株式会社Clamppyのアンケートにて、離婚を決めた理由に生活費関係を挙げていた男性は次の通りです。
- 生活費をギャンブルに使い込んでいたこと。(25歳・結婚1年目・会社員)
- 生活費やお金関係。自分ばかりが負担して、相手が負担することがほとんどなかった。(28歳・結婚6年目・会社員)
女性に比べて意見が少なかったとはいえ、生活費に関して妻に不満を持つ夫側の意見もいくつか見られました。
女性は心身の危険が及んだ場合の離婚が多い傾向
司法統計や弊社のアンケート結果を見ると、女性はDVやモラハラ、経済的DVなどの心身や生活に危険がおよんだ場合に離婚を決めることが多いようです。女性の場合は、出産・子育てによるキャリア中断、夫の希望による家庭入り、賃金格差、筋力差などの社会的・身体的な部分で弱い立場に立たされやすい側面があり、物理的・精神的・経済的な虐待の対象になりやすいという背景が見えてきました。
男性側も女性側からのDVやモラハラで離婚を決めるケースも見られますが、司法統計での婚姻関係事件申立てにおける女性の動機数を見ると、「暴力を振るう」が8,576件・女性全体の約20%で、男性の1,457件・男性全体の約9.3%の約2倍です。「精神的に虐待する」も女性側が1万948件・女性全体の約25%で、男性側の3,159件・男性全体の約20%よりも多くなっています。
そもそも、婚姻関係事件の申立てをした総数は女性が4万3,469件、男性が1万5,500件と約3倍近くの差があります。申立て数はあくまで参考にしかなりませんが、「女性側が離婚を決意するケースが多い」と一定の推測ができるでしょう。
男性は「居場所がない」「不満を言われる」など精神的部分での疲弊が多い傾向
男性側の離婚理由は、「自分には家庭に居場所がないのではないか」「妻からの不満を聞くので疲れてしまった」など、精神的部分での疲労が多かった印象を受けました。
司法統計を見ると、男性側の婚姻関係事件の申立て動機「性格が合わない」は、男性総数の1万5,500件中9,240件で約60%を占めています(女性は総数4万3,469件中1万6,304件と約37.5%)。お金の面や身体的な暴力よりも、精神面で耐えられなくなって離婚を考える男性が多いのではと推測されます。
女性からの身体的暴力や経済的DVを受けるケースが少ない反面、「男性のほうが耐えるべき」「妻に言い返さないなんて情けない」といった、社会における男性への偏見のせいで問題が積み重なるリスクがあるのも事実です。そうした周囲の雰囲気や態度が、男性に離婚を決意させるきっかけになるのかもしれません。
男女別の離婚原因ランキングやアンケートから見る離婚しやすい夫婦の特徴
本記事で調査した「男女別の離婚原因ランキング」から、離婚しやすい夫婦の特徴を以下のようにまとめました。
- コミュニケーション不足
- お互いを尊重していない
- 夫婦間に収入や学歴などの格差がある
- 親離れできていない
それぞれの特徴について、詳しく解説します。
コミュニケーション不足
夫婦で「性格が合わない」と感じる場合は、夫婦間のコミュニケーション不足が原因かもしれません。
本当に受け入れられないレベルの性格の不一致や、生活習慣の違いは仕方がない部分があるのですが、「些細な違和感」「些細な嫌なこと」の積み重ねのせいで、離婚にいたる夫婦は珍しくありません。コミュニケーション不足が続くと、行きすぎた夫婦喧嘩に繋がってしまうことも。
離婚を避けるためには、まずはお互いの気持ちや嫌なことなどをしっかり話し合い、お互いの意見に聞く耳も持つことが大切です。「家事・育児を手伝ってほしい」「子どもの面倒を見てほしい」「普段の言動を見直してほしい」などの意見は、口に出すことで初めて伝わる可能性があります。相手が気づくきっかけになれば、夫婦仲の改善が進む可能性があります。
お互いを尊重していない
モラハラやDV、経済的DVの根本的な要因の1つとして、「相手のことを尊重していない」ということが挙げられます。
「この人には手を上げてよい」「この人には侮辱的な言葉を言ってもよい」という考えが心の底にあるからこそ、モラハラやDVなどの行為におよんでしまうのです。
そしてモラハラやDVの加害者は、自分が「ひどいことをしている」という自覚がないケースが存在します。正義感や自尊心によって、「自分が正しいことを言ってあげている」と思い込んでしまうパターンがあります。
「相手が自分を尊重していない」「話し合う余地もなく暴力や暴言で打ちのめされる」というときは、自分の心身を守るために、離婚や別居、専門機関に相談するのがおすすめです。
夫婦間に収入や学歴などの格差がある
あってはならないことですが、夫婦間に収入や学歴の格差があることで、片方が「マウント」をとってしまう場合があります。
それが、モラハラや経済的DVに繋がってしまうケースも見られます。株式会社Clamppyが実施したアンケートのなかにも、「顔が好きだったけど、浮気するわ、低学歴低収入だわで今となっては何が良かったか分からないから」と、相手の収入や学歴によい感情を持たない意見がありました。
また、逆に収入や学歴が低い方が高い方に対して「力で言うことを聞かせよう」という考えになることもあります。
収入や学歴に格差があってもお互いを尊重できる夫婦でいたいものですが、格差が原因で自分の心身が壊れてしまいそうなときは、できるだけ早く離れるようにしましょう。
親離れできていない
夫婦のどちらかが親離れできていないと、夫婦の生活に義両親や親族が侵食してきてしまうことが多々あります。
いくら仲が良かったり、人当たりの良い人が相手でも、義両親が度々顔を出す環境や、逐一義両親に干渉される環境はストレスが溜まってしまうでしょう。
また、仲が悪い場合に仲裁をしてくれないケースや味方になってくれないケースも多くみられます。
大人になってからの親離れはなかなか難しいのですが、パートナーが自分と築く新しい家族より義両親を優先するようであれば、離婚も考える人が多いようです。
双方で合意できればどんな理由でも離婚は可能!
離婚したいと感じられる理由は、夫婦によってさまざまでしょう。注意点として、夫婦が離婚したいという考えにいたる理由と、法律上で離婚が認められる理由は異なります。
夫婦間の話し合いで合意に至れば、どんな理由であっても離婚できます。いわゆる協議離婚です。離婚の条件を取り決めて、各々が離婚届に署名・捺印して役所に提出すれば離婚が成立します。
協議離婚:夫婦で話し合いを行い、離婚を成立させること
協議離婚が認められる背景として、離婚を定める法律である民法に「契約自由の原則」が定められています。
契約自由の原則とは
「契約は当事者の自由な意思に基づいて結ぶことができる」ということを、「契約自由の原則」と言います。
当事者間で結ばれた契約に対しては、国家は干渉せず、その内容を尊重しなければなりません。
「契約を結ぶかどうか」、結ぶとしても「誰と結ぶか」、「どのような契約内容にするか」について、当事者は自由に決めることができます。
原則として離婚は「私人同士」の契約となるため、法律の縛りを受けません。そのため、協議離婚においては、法定離婚事由は必要とされないのです。
相手が協議によって離婚を認めなかったり、話し合い自体を拒んだりして裁判で決める必要がある場合、「離婚せざるを得ない」理由が必要になります。
話し合いで合意できず裁判で離婚する場合は「法定離婚事由」が必要
夫婦間による話し合いで離婚を成立させる協議離婚の場合は、双方が同意すればどのような理由であっても離婚をすることができます。
協議離婚が成立しない場合、家庭裁判所に調停や裁判を申し立てて、離婚の合意に向けて話し合いを進めることになります。
調停離婚:家庭裁判所に離婚の調停を申し立てて、調停の場で離婚に合意すること
調停の場でも双方が離婚に合意しなければ、裁判にて離婚の成否を争う流れとなります。
裁判離婚:調停で夫婦間で合意ができないときに、裁判の判決によって離婚の判断を求めること
裁判においては、法定離婚事由が最低1つでも存在しなければ、裁判で離婚を認めさせることはできません。つまり法定離婚事由が存在することの証拠を用意できれば、裁判によって勝てる見込みがあるとも説明できます。相手方に強気で交渉を行える材料となるでしょう。
法定離婚事由は次の5つとなります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
それぞれの法定離婚事由について解説していきます。
不貞行為
不貞行為とは配偶者以外の者と性交渉や性交類似行為(口淫、裸で抱き合う行為など)を行うことです。
不貞行為と聞くと、異性と手を繋いだりキスをしたりした時点で浮気や不倫だと考える人もいるでしょう。しかしこれだけの行為では不貞行為とは認められないのです。
そのため食事やデート、メールや電話などのやり取り、腕を組んで歩くといった行為は不貞行為には該当しません。
悪意の遺棄
悪意の遺棄とは、民法に定められる夫婦の義務に反して、婚姻生活を破綻させる行為のことです。
民法第752条 「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」
上記の条文の通り、夫婦は同居・協力・扶助の義務を負うことになります。正当な理由なく反する行為を行った場合、法定離婚事由となり得ます。
具体的には一方的な家出、収入があるのに生活費を渡さない、不倫・浮気相手と同棲して帰ってこない、健康であるのに働かないなどが悪意の遺棄に該当します。
3年以上の生死不明
配偶者の生死が3年以上不明な場合、裁判で離婚が認められます。
協議離婚や調停離婚を行うことが不可能な状況であることから、裁判を起こして離婚を認めてもらう流れとなります。なお行方不明の場合には、家庭裁判所に「失踪宣告」を行う必要があります。
回復の見込みのない強度の精神病
強度の精神病によって夫婦の協力義務を果たすことが難しい場合にも、法定離婚事由として認められます。
具体的な病名として、統合失調症や躁うつ病によって、離婚が認められるケースが多いと見受けられます。
ただし精神病が原因となる離婚は、離婚後の療養や生活方針について具体的に見込みが立たなければ、認められにくい傾向にあるようです。配偶者からの療養費の支払いや、実家の家族による生活支援といった確実性の高い計画が基準の目安となります。
その他婚姻を継続しがたい重大な事由
その他婚姻を継続しがたい重大な事由には、多様な判断基準が設けられています。主な判断基準として「夫婦生活が破綻していて、継続し難い」ことが挙げられます。
具体的には以下のようなケースが挙げられます。
- DV(家庭内暴力)
- 精神的虐待
- ギャンブルや浪費癖などによる借金
- 長期間の別居
- 重大な病気・障害
- 配偶者の親族との不仲
- 過度の宗教活動
- 性的嗜好の不一致
上記のケースに該当するからといって、その他婚姻を継続しがたい重大な事由に該当するとは限りません。裁判で認められるかどうかは、当事者の背景や生活状況など様々な要素が考慮されることになります。
離婚を決断できないのはなぜ?ためらった理由をアンケートから考察
離婚は結婚と同じく人生の岐路とも呼べる出来事であり、勢いや軽い気持ちで決断するのは避けるべきです。実際に、離婚したい理由がはっきりしていても、離婚を決断できない人は珍しくありません。
株式会社Clamppyが実施した「離婚を考えてから実際に離婚するまでの間にためらったことはありますか」というアンケートでは、281人中61.2%である172人が「ためらったことがある」と回答しました。以下では、離婚をためらった理由についてアンケート結果を基に解説します。
子どもへの影響を考えた人が32.7%
子どもがいる夫婦が離婚すると、子どもは離婚の影響を大きく受けてしまいます。今まで一緒に暮らしていた親がいなくなるうえに、引っ越しによる生活環境・友人関係の変化、収入減による教育や進路の制限、寂しさや悲しみによる人格変化など、子どもの人生に与える影響は多大なものになるでしょう。
そのため、子連れ離婚を検討する人は離婚による子どもへの影響を考え、離婚をためらうケースがあります。アンケート結果を見ると、281人中32.7%である92人が、離婚をためらった理由として「子どもへの影響を考えて」を挙げています。
しかし一方で、子どもがいても離婚に踏み切る人も少なくありません。子どもがいるのに離婚を決意する理由については、子どもがいても離婚する人は少なくない!理由について基に解説にて詳しく解説します。
子どもにとって両親は愛情を注いでくれる大切な存在です。幼い子どもは事情を理解できないことから、どうして母親や父親と会えないのかと悲しんでしまうでしょう。しかし夫婦関係を継続することが必ずしも適切ではなく、非常に悩ましい問題だと言えます。
<子どもを理由に離婚をためらった人の口コミ>
- やはり子どもがいたので、父親がいないことで不安にならないか心配だった。(女性・50代・離婚を切り出すまでに8年)
- こどもが2人いて、長男はこちらに居たいと言いましたが次男は元妻と一緒が良いと言いました。本当に息子達には悪いと思いました。(男性・30代・離婚を切り出すまでに1年)
- 未就学児のこどもがいたので、寂しい思いをさせるかもしれないという事。(女性・40代・離婚を切り出すまでに1年)
相手への情や関係修復見込みなど「まだ続けたい」と思った人は31.3%
アンケートを見ると「相手に情が残っていた」「夫婦関係が修復できるかもしれないと思った」と、夫婦関係をまだ続けられると思って離婚をためらった人は281人中31.3%の88人でした。
やはり結婚前からお互いを知り、一緒に結婚生活を営んだ相手とすぐに別れる決断を下すのは難しい面もあります。実際に話し合いや反省を経て問題を解決することで、夫婦関係を修復できた例はいくつも存在します。
どちらが良い悪いではなく、お互いに妥協点や改善点を見出すことで、夫婦生活を共に歩んでいこうという姿勢は素晴らしいものです。離婚は人生の大きな決断となるので、どうにか円満な生活を続けていこうという気持ちは理解できます。
女性は経済的不安で離婚をためらう人が男性より3倍多い
離婚をためらった理由として「離婚後の経済状況が不安だったから」と回答したのは、281人中20.9%の59人でした。内訳を見ると、男性9人(105人中7.6%)に対して女性51人(214人中23.8%)と、女性が男性の割合の約3倍多くなっています。
女性の社会進出や価値観の変化はあれど、女性はまだ収入面の不安が大きくなってしまう傾向にあります。実際に日本のシングルマザーの貧困は先進国のなかでも多いとされており、まだまだ男性が収入の柱である世帯が中心であると言えます。
とはいえ現在は、シングルマザー向けの支援制度の整備が少しずつ進んできました。法改正によって、児童手当や児童扶養手当といった子どもを持つ世帯への金銭的支援も拡充もおこなわれています。もし離婚後のお金が心配でためらっている人は、一度国や自治体の支援制度を調べてみてください。
世間体・周囲の目が気になるという理由は男性がやや高い
世間体や周囲の目を気にして離婚をためらっている人は、女性よりも男性のほうが4%ほど高いとのアンケート結果が出ています。大きい差が出たというわけではないものの、男性のほうがやや周囲を気にしている傾向が見られます。とはいえ、離婚をためらうほどではないとしても、男女ともに離婚による周囲からの見られ方は気になる人も多いのではないでしょうか。
具体的にはシングルマザーと見られたくない、戸籍にバツがつくのは恥ずかしいといった理由が挙げられます。家族や友人に結婚報告を行ってしまったことから、引くに引けないと感じられることもあるでしょう。
離婚を決断した理由!離婚した方がいい夫婦の特徴
離婚を決断する理由やしない理由は夫婦によってさまざまであり、その決断は尊重されるべきです。ただし離婚したほうがよい夫婦の特徴もいくつか挙げられます。
- 相手の問題がある行動が改善されない
- 夫婦の不仲がこどもに悪影響を与えている
- DVやモラハラをされている
- 夫婦生活が原因で心身に不調をきたしている
- 経済的な価値観が合わず生活が苦しい
- 愛情が残っていない
それぞれ解説していきます。
相手の問題がある行動が改善されない
離婚したいと感じられる原因があったとしても、改善の余地があれば許してあげようと思えるものです。しかし相手の行動が改善される見込みがないのであれば、離婚を決断すべきときだと言えます。
一例を挙げると、浮気・不倫や酒癖の悪さは簡単に改善されるものではありません。注意してその場では反省しても、同じことが繰り返されてしまえば、懲りてしまうのも当然でしょう。
夫婦の不仲が子どもに悪影響を与えている
「夫婦の不仲が原因で離婚したいが、子どもの将来を考えると離婚を決意できない」と悩んでいる方も多いでしょう。もしも夫婦の不仲や離婚の原因が子どもに悪影響を与えているなら、離婚によって状況を改善させるべきかもしれません。
子どもが幼少期の場合、今後の成長や精神面において悪影響を及ぼす可能性があります。子どもが思春期にもなれば、夫婦関係の悪化を隠すことはもはや難しいでしょう。
DVやモラハラをされている
DV(家庭内暴力)や暴言といったモラハラなど、相手の行動や言動に恐怖を感じている場合は、早期に離婚を切り出すべきです。
本来くつろぎの場である家庭にいることで、暴力や精神的虐待を受けてしまうことは、人間としての尊厳を傷つけられているとも言えます。
実家に帰省するか別居を検討するなど、離婚を決意するか判断する以前に、パートナーと物理的に距離を置くという選択肢を取るべきです。
夫婦生活が原因で心身に不調をきたしている
夫婦生活のなかでストレスが溜まり、心身ともに不調の原因が発生しているのであれば、早期に離婚を検討すべきでしょう。
不眠や抑うつの症状などの症状は長期化する恐れもあり、生活の幸福度すら下げてしまう要因となってしまいます。
医療機関やカウンセラーに相談することで、自らの夫婦関係や生活状況を打ち明けながら、症状の改善方法をヒアリングすることをおすすめします。
経済的な価値観が合わず生活が苦しい
夫婦生活を円満に続けていくためにも、やはりお金の問題は避けて通れません。金銭面での折り合いがつかなかったり、トラブルが生じてしまったりするようであれば、夫婦生活を続けていくことは難しくなるでしょう。
具体的には生活費やお小遣いを渡してもらえないといった経済的DV・日常的な浪費・ギャンブルによる借金などが挙げられます。ギャンブル依存症といった精神面での問題は、治療に時間を要するだけでなく、改善されるという保証もありません。
単なる浪費癖の問題であり相手の年収が高いのであれば、支出を見直すことで改善させることは十分可能でしょう。
相手に愛情が残っていない・夫婦関係が冷めている
どのような夫婦も、お互いに深い愛情を感じたからこそ、結婚を決めたのではないでしょうか。言い方を変えれば、愛情のかけらも無く夫婦関係が冷め切っているのであれば、離婚すべき時だといえるでしょう。相手に愛情が残っていないとなれば、こちらの気持ちも冷めてしまいます。
夫婦として一緒に過ごすことを決意したときには、老後までお互いに支え合って幸せに生きていきたいという希望に満ち溢れていたはずです。しかし生活の中で価値観がすれ違い、老後まで一緒に過ごすべきなのだろうかと疑問が生じることもあるでしょう。
「このまま将来一緒に過ごすことが、お互いの人生にとって本当に幸せなのだろうか」という疑問から離婚を決意することも、人生を前向きに進めるための第一歩となるかもしれません。
生理的に受け付けないレベルでなくとも相手に対する愛情が残っておらず、夫婦関係が冷め切っている状態です。
子どもがいても離婚する人は少なくない!理由について解説
子どもがいる家庭の離婚は、子どもの将来を考えて離婚を見送るケースも考えられます。一方で、厚生労働省「令和5年度 人口動態統計」によると、未成年の子どもありで離婚した夫婦の割合は、子どもなしの世帯よりも多くなっています。
年数 |
離婚総件数 |
未成年の子あり離婚件数 |
未成年の子あり離婚の割合 |
2023年 |
18万3,814 |
9万4,487 |
51.4% |
2022年 |
17万9,099 |
9万4,565 |
52.8% |
2021年 |
18万4,384 |
10万5,318 |
57.1% |
2020年 |
19万3,253 |
11万1,335 |
57.6% |
2019年 |
20万8,496 |
11万8,664 |
56.9% |
弊社が実施したアンケート調査でも、子連れ離婚は735人中386人と約半数を占めていました。離婚理由は「性格の不一致」や「家事・育児への協力がない」が多くなっています。
いくら離婚が子どもに対して大きな負担になろうとも、夫婦仲が悪い状態を見せつけたり、パートナーによる子どもへの虐待がおこなわれたりなど、婚姻関係を続けることによる悪影響のほうが大きくなるケースは多々あります。
婚姻関係を続けることが離婚するよりも子どもに与えるデメリットが大きくなったとき、離婚を決断する人が多いようです。
【離婚を決意したら】実際に離婚を切り出す前にやっておくべきこと
離婚を決意したはよいものの、相手に離婚を切り出す前にやっておくべきことがいくつか存在します。具体的には以下の通りです。
- 本当に離婚するべきなのか改めて考える
- 離婚後の生活費の確保を考える
- 離婚時にもらえるお金について確認する
- 不貞行為やDV・モラハラなどあれば証拠を用意する
- 離婚後の住居について考える
- こどもがいる場合は親権を得やすいポイントを把握する
離婚を決意した際に最初に考えたいことは、本当に離婚するしかないのか改めて考え直すことです。離婚は自分だけでなく、こどもの人生を左右する決断となることを認識しなければなりません。
またお金にまつわる問題は切っても切り離せません。離婚後の収入源や離婚時にもらえるお金など、予め計画や見通しを立てておくようにしましょう。慰謝料増額のために不倫やDV、モラハラに関する証拠があると望ましいです。
離婚後の住居選びや親権争いに関する情報収集も怠らないようにしましょう。事前に準備を行いながら今後の展開についてシミュレーションすることで、少しでも自分に有利な条件で離婚を進めることができるはずです。
本当に離婚するべきなのか改めて考える
夫婦間における様々な問題から「もう離婚する以外の選択肢は考えられない!」と思い詰めてしまうこともあるでしょう。最初に考えたいことは、本当に離婚することが自分にとって最善の決断なのかという点です。
お互いの意見を交換し合い、自らの行動を振り返ってみることで、夫婦関係が見直される余地が生まれるかもしれません。またこどもがいる場合、こどもの将来に多大な影響を及ぼす事も考えられます。
弁護士やカウンセラーといった第三者に相談することで、状況を客観的に把握することにもつながるはずです。離婚すると決意してから数ヶ月は時間を取って、自らの心境の変化を確かめてみることも効果的でしょう。
離婚後の生活費の確保を考える
離婚後の生活費を確保できなければ、当然ながら今後の生活は苦しくなってしまいます。
専業主婦の場合、離婚後は無職となるため仕事探しをしなければなりません。慰謝料や財産分与、養育費をもらえたとしても、生計が成り立つほどの金額ではない可能性も考えられます。
まずは生活費を確保するためにも、安定して働ける仕事を探すことが先決となります。
離婚時にもらえるお金について確認する
離婚するにあたって、配偶者からもらえるお金の種類はいくつか存在します。事前に把握することで、離婚後の生活を豊かにすることができるでしょう。
具体的な種類は以下の通りです。
財産分与とは婚姻期間に形成した財産を貢献度に応じて分割することです。基本的には夫婦間の協議となりますが、話し合いがまとまらなければ、財産分与請求調停を申し立てることも可能です。
慰謝料とは精神的苦痛の代償として請求できるお金です。慰謝料の相場は100~300万円ですが、夫婦間の状況によって変動することもあります。夫婦間で協議したり、弁護士と話し合うこともあります。
ただし性格の不一致といった理由では、慰謝料が貰えないケースがあります。精神的苦痛に対する賠償金として慰謝料は支払われるため、価値観の違いという理由では立証を行うことが難しいのです。また相手が不倫している事実を突き止めても、肉体関係である証拠が無いために、慰謝料請求が認められなかったケースもあります。
養育費とはこどもの権利であり、こどもを養育しない側の親が支払うことになります。
養育費の平均相場は、母子家庭で平均月額50,485円、父子家庭で26,992円です。
養育費の金額は、こどもの人数や年齢、夫婦間の収入によって変動します。近年では裁判所が明示している養育費算定表に基づくケースが多くなっています。
参考:令和 3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要
参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所
不貞行為やDV・モラハラなどあれば証拠を用意する
配偶者の不貞行為やDVやモラハラなどの客観的な証拠を用意することで、離婚成立や慰謝料請求の増額など。離婚における一連の手続きを有利に進めることができます。
離婚を成立させるために、DVやモラハラの決定的な証拠を集めることが重要です。具体的には医師の診断書や受診歴、被害を受けた怪我の写真、メールや電話録音といった対策が挙げられます。証拠を入手できた場合は弁護士に相談して、優位な状況に立てるように行動しましょう。
もしも自力で不貞行為の客観的な証拠を入手するのが難しいと感じるなら、探偵事務所や興信所に依頼することをおすすめします。
浮気調査における情報収集や尾行や依頼者への報告は、探偵であれば合法的に行うことができます。「探偵業の業務の適正化に関する法律」として、国から認められた業務です。
確実に浮気の証拠を入手しながら、時間や費用や手間を抑えられることは大きなメリットとなるでしょう。また浮気の証拠を入手した後も、離婚問題に強い弁護士を紹介してもらえるなど、アフターケアも充実しています。
離婚後の住居について考える
離婚後の生活において、日々の暮らしのための住居が必要となります。まず選択肢として挙がるのは実家でしょう。賃料がかからず、育児や家事のサポートをしてもらうことができます。
実家との関係性や地理的な要因から、賃貸物件に住むという選択肢も挙げられます。注意点としては、賃貸物件を利用するにあたり、初期費用として数ヶ月の金額を先払いしなければなりません。
社宅や公営住宅については、職場や離婚前に財産状況や当選倍率などを考慮すると、離婚直後からタイミングよく入居するのは難しいでしょう。
子どもがいる場合は親権を得やすいポイントを把握する
離婚する際に、どちらの親も親権を欲しがる場合には、親権について争う必要があります。調停において親権を得るためのポイントを抑えておくことで、親権争いを有利に進めることができます。
日本では母親の親権の獲得率が約90%を占めていて、父親は10%程度しか親権を獲得できていません。そのため父親が親権を獲得することは相当難しいことを理解しておきましょう。
父親に親権が認められるケースとしては、母親のDVやネグレクト、精神疾患といった持病、家出、浮気や不倫、ギャンブル中毒による極度の浪費などが挙げられます。またこどもの年齢が高い場合、父親と一緒に生活することを望んでいると、こどもの意思の尊重として重視されます。
母親の監護能力が乏しいと判断されない限り、母親を親権者から外すという判断にはなかなかいたらないのが実情です。父親の立場としては、こどもの保育園の送迎や食事の用意といった過去の実績(日記や写真など)や、金銭面における教育計画など、調停委員にアピールするための材料を用意することが非常に重要です。
離婚を考えたら弁護士に相談するのがおすすめ
離婚を決意するにあたっては、様々な問題について対処しなければなりません。とくに重要となるのは、お金の問題と子どもの問題です。離婚における争いを有利に進めるためにも、弁護士から法律面における全面的なサポートを受けることをおすすめします。
夫婦間での話し合いで折り合いがつけば無事に離婚が成立します。しかし互いの主張が食い違い、慰謝料の金額や親権争いで揉めてしまうと、調停から裁判にて争わなければなりません。
男女の関係と割り切ることができれば良いのですが、現実的にはこどもや財産などに関する問題が複雑に絡み合うのが離婚です。法的な問題に関しては、離婚案件に強い弁護士の力を借りることで、あなたにとって有利な流れで離婚手続きを進めることができます。
無料相談で、あなた自身の悩みを弁護士に打ち明けてみましょう。悩みを聞いてもらえるだけでなく、離婚した後の人生についても、的確なアドバイスやフォローをもらうことができます。離婚に向けた第一歩を踏み出してみようと、明るい気持ちになっているはずです。
当サイト「ツナグ離婚弁護士」なら、相談内容や都道府県での絞り込み検索が無料で可能です。
まとめ
本記事では司法統計や弊社で集計した独自のアンケートを参考に、男女別の離婚理由をランキングにして解説しました。
夫婦間で抱える問題は家庭によって異なりますが、夫婦生活に体力面や精神面で限界を感じているのであれば、離婚に向けての第一歩を踏み出してみるべきタイミングです。
弁護士事務所に相談するなど、法律のプロフェッショナルの全面的なサポートをうけることで、慰謝料請求や親権争いなど、離婚における今後の流れを優位に進めていくことができます。
もしも配偶者と真剣に離婚したいと考えているなら、無料相談できる弁護士事務所を探してみましょう。親身に相談に乗ってくれるだけでなく、離婚に向けた包括的なサポートによって、あなたの要望を受け入れてくれるはずです。
離婚する理由についてよくある質問
金銭的な問題で離婚したい場合は法定離婚事由に当てはまりますか?
生活費を支払わない、お金を浪費するといった問題が、直接的に法定離婚事由に定められているわけではありません。そのため裁判所がお金の問題を直ちに離婚原因とみなすことはありません。
もしもお金の問題を原因に離婚したいのであれば、法定離婚事由に該当することを主張・立証する必要があります。例えば「生活費が全く支給されない」場合は、「悪意の遺棄」として認められることも考えられます。
義家族との関係が悪い・嫁姑問題は離婚の原因として申し立てできますか?
配偶者との不仲や嫁姑問題は、全ての夫婦において多少なりとも影響を与えるような問題です。また離婚は夫婦間の問題のため、嫁姑問題を直接の離婚事由とすることはできません。
離婚として認められるには、嫁に対する姑の行動について夫が誠実な対応を取らずに「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」が発生したと証明しなければなりません。
そのため姑の言動や行動の録音や録画、事実関係の詳細なメモを用意する必要があります。夫の対応の記録なども証拠として用意するようにしましょう。
子供ができない(不妊)を理由に離婚することはできますか?
不妊に関する問題は非常にデリケートです。不妊自体を理由として離婚する場合、原則として配偶者からの同意がなければ、離婚をすることはできません。
不妊自体は法定離婚事由に該当しないと考えられるため、裁判において不妊を理由に離婚が認められることはありません。
ただし不妊を理由に夫婦間でDVや長期間の別居と言ったトラブルが生じた場合、「その他婚姻関係を継続できない重大な事由」に該当し、離婚できる可能性は十分考えられるでしょう。
家事・育児に非協力的であることを理由に離婚することはできますか?
家事・育児に協力的でない夫に対して、妻が著しく不満を募らせる場面はよく見受けられます。しかし夫が家事・育児に非協力的だからといって、それ自体が離婚の離婚として認められることはありません。
ただし夫が家事・育児に対して非協力であることを理由に「その他婚姻関係を継続できない重大な事由」が発生した場合、離婚が認められるケースも考えられます。
例えば「子供の泣き声がうるさいという理由で、家を出たまま別居状態になっている」「家事に対する不満を打ち明けたら、暴力を振るわれた」という状況であれば、「その他婚姻関係を継続できない重大な事由」に該当する可能性もあり得るでしょう。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに弁護士にご相談を
- 北海道・東北
-
- 関東
-
- 東海
-
- 関西
-
- 北陸・甲信越
-
- 中国・四国
-
- 九州・沖縄
-